だらんと横向きに寝ていて、手足は投げ出され、身体はだらしなく伸びている。
「ブニ」と声をかけると、かったるそうに少しだけ頭を持ち上げワタシのことをチラリと見て、またぐったりと地面に頭を落としてしまった。
ぎゃ。
あああアンタまさか、具合悪いの?
見たところ外傷はなさそうだけど、もしや病気にでも?
じっと見ていてもブニはちっとも動かないままなので、玄関から回ってこわごわ近寄っていったら。
外に出てきたワタシを見て、ブニは目にも止まらぬスピード起き上がり、軽やかに走り去って行った。
寝ていただけらしい。
あああ良かった。
良かったよ~!
ほんの何分かの間だったが、いろいろなことを考えてしまった。
ぶっ倒れているブニを放っておくことはできない。
ワシが優しいからでは決してなくて、うちの窓の前でシなれたらヤだからだ。
シなれたらヤなので病院に連れて行くが、診てもらった結果、長期にわたって治療が必要になるかもしれない。
治療するのはいいけれど、弱っているブニを外に出すことはできない。
もしかしたら生涯、治療やケアが必要になるかもしれない。
いよいよ外には戻せない。
完治したとしても、いったん家の中に入れた猫を、しかも本猫が家に馴染んだりした場合、やっぱり外には戻せない。
もうどう転んでも、外には戻せない(ような気がする)。
里親が見つかる可能性は、限りなく低いと思う。
ブニがうちで暮らすことになったら、らくは怒るだろうか。
らくが受け入れてくれたとしても、ブニが感染する可能性のある病気を持っていたらどうしよう。
ブニのこの先の一生に責任を持つ覚悟があるのかワシ?
などなどなどなど、心が千路に乱れた数分間だった。
ブニちゃんたら、もう。
紛らわしい場所で、紛らわしい格好で寝ていただけで、ほんとにえがった~。