8年前のワールドカップのときは、いっちゃんの慢性腎不全が発覚して闘病生活が始まったばかりの頃だった。
ワタシが労働から帰ってきて、
「いっちゃん、今日はどうだった?」
と聞くと、くりくりは
「オレと一緒にワールドカップを観てた。」
と言う。
あのう。
そういうことを訊いているんじゃないんだけどな。
ご飯や態度や様子はどうだったかってことなんだが。
くりくりに訊くのはあきらめて、
「いっちゃん、ワールドカップ観たの?ほんとに?」
そういっちゃんに話しかけていると、横でくりくりが
「観ていたよ。一緒に日本を応援しているんだ。
なー、いちごさ〜ん。」
なんてしゃべっていた。
ワタシはサッカーにぜんぜん興味がないから、くりくりは、試合を観ているときに、いっちゃんがそばにいてくれるのが嬉しいらしかった。
そして、今年。
くりくりが試合を観ている間、らくは1階の猫ベッドにとどまっていた。
いっちゃんも、そばでテレビを観ていたかもしれない。
そして、いっちゃんとらくの応援のおかげで、日本はカメルーンに勝利した。
・・・と、ワタシは思っているんだけどな。