王国記ラクシュミー編、開闢いらいの大事件

よく晴れた朝。
サンラメラの前でスヤスヤと眠っていたラクシュミー。
部屋のカーテンを開けると、日向ぼっこ&見張りを開始。
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晴れていても風が冷たいので、滞在時間は短めだったけれど、屋上の見回りも。
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いつもどおりの、マンネリ・バンザイなぎゃおす長屋の朝。
日差しが明るくてポカポカで、悪い予感は何もない。
ところが、カイヌシがベランダの花たちに水をやろうとしたときのこと。
猫タワー近くの床の上に、何かが落ちているのが目に入った。


見た瞬間は、爪だと思った。
生えている爪の形のまま、表層が薄く剥がれて落ちたもの。
しかし何か違和感が・・・。
そうした爪は薄いので、半透明で下のものがうっすら透けて見える。
ところが落ちていたものは透明感が全然なくて、ぼってりした質感のよう。
しかも根元(端っこの太くなっている部分)は、赤黒くなっている。


・・・まさか、まさか。
爪が抜けた?
カイヌシが寝ている間、夜中にタワーで遊んでいて、爪が引っかかって抜けてしまった?
気配にぜんぜん気がつかなかった。
悲鳴などが聞こえれば、寝ていても目が覚めると思うのだけど。


ワタクシはド近眼なので、しゃがんで目を近づけた。
・・・やっぱり剥がれた爪じゃない・・・ように見える(涙)。
心臓バクバクになりながら、恐る恐る拾い上げた1.5秒後。
唐突に、これは歯、もっと正確にいうと『猫のキバ』だということを理解した。


↓ちょっと怖いのでクリック注意
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↓もっと怖いので、もっとクリック注意
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歯って・・・。
は?
なんで?どうして?
何がどうなって床にキバが落ちているの?
これ、誰の?
なんでうちに落ちてるの?
・・・まさか、まさか、これ、らくの?


カイヌシ、心臓バクバクがMAXに。
そして一方、猫ベッドで何事もなかったかのようにグルーミング中のイエヤマネコ。
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唇をめくって確認してみたら・・・
左下のキバがない(号泣)。


花の水遣りも何もかも放り出して、病院に電話。
午後一、2時に予約。
ちょっと迷ったが、いっちゃん&らくも1歳半までお世話になっていた、元祖ぎゃおすマンション近くの女医さんのところに行くことにした。
去年、健康診断してもらった近所の病院は、評判も悪くないし設備も整っている。
そこではデブの原因としてクッシングを疑われて、検査を薦められていたのだが、ぶっちぎったまま行っていない。
猫のクッシングって、それこそ「は?」って感じでピンとこないが、それになにより、検査では病院に1日預けなくてはならない。
カイヌシが一緒にいた健康診断のときでさえ、病院でらくさん、口を半開きにして過呼吸のようになってしまって、心臓がどうにかなってしまうんじゃと本気で心配したのだった。

らくは臆病だけれど、そんな状態になったのは後にも先にも、このときだけ。
らくにとっては始めての男性の獣医さんだったので、そのせいか、あるいはラクシュミーと先生の相性がイマイチだったせいかは分からないけど、どうしても、どうしても、たった1日だけでも病院に預ける気になれない。

そういういきさつがあって、検査をぶっちぎったまま、行ってない。
だからって先生から悪く思われているってことはないだろうし、カイヌシ的に行きにくいってこともないのだが。
らくのあの尋常じゃない怖がりようを考えると、やはりもう行けない。


ってことで、仔猫のときに診てもらっていた女医さんのところまで行くことに。
・・・と、カイヌシはアワアワしている間のらくさんは。

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あ、むしさん

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あ、とりさん

らくや。
おめめキラキラさせてるバヤイじゃないでしょー!
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じゃ、たべる

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あさごはん

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オレさまは、たべる、みょ!



・・・い、痛くないの?
昨日まで、痛そうな素振りはおろか、口を気にするような気配すらまるでなかった。
そして今日も、まったく、全然、ない。
らくや。
あなた大丈夫なの?
どうなっているの?
辛そうにしていないほうが、もちろんいいけど、特に猫は『辛そうじゃない=辛くない』とは限らないから油断ができない。


午後になり、気持ち良さそうにおっぴろがっているところを抱き上げて
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こんな顔して寝てても
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左下(画像右下)のキバがない。
ちょうどその部分が黒くなっているけど、黒いのは穴じゃなくて、くちびるの色素。

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くりくりと二人がかりでキャリーに収納。
大通りでタクシーを捕まえ、一気に病院まで。
・・・という計画だったのだが、タクシーはなかなか来ないわ、らくはキャリーの中で雄叫びしてるわ、やっと捕まえたら運転手さんは道を知らないわナビもないわ、おまけに話好きでずーっとしゃべりっぱなしのヒトだった。
話の内容は主に、行きつけの飲み屋のママについてと、ご自分の半生についてであった。
らくは車に乗ったら絶叫をやめてくれたので、カイヌシ、少しだけファスナーを開けて隙間から手を突っ込んで、ずーっとらくを撫でていた。
そっちが忙しかったので、運転手さんの話はろく聞きもしないで適当に相槌を打っていただけだから、いいっちゃいいのだが、疲れたよ。

で、ワタシ一人なら自転車で15分、らくを背負ってゆっくり走っても30分足らずという距離を、タクシーでたっぷり30分以上かけて到着。
いいえ文句はありません。
無事に着けたらそれでいいの。


病院にて。
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先生と2人がかりで、キャリーから引っ張り出されたラクシュミーさん。
約5年ぶりにラクシュミーを見た先生、
「大きくなったわね~」と。
お心遣い、ありがとうございます。
先生からも「太らせないように」と散々注意されていたのに、少々大きくなりすぎました。
予約の電話をしたときに「デブです」と申告していたので、言葉を選んでくれたのだろう。


体重は7.8kg。
ついこの前、家で量ったときより50g減った。
痩せた♪
・・・わけではなかろう。
50gじゃ誤差の範囲内だなあ。


診察台の上でらくさん、ズリズリとカイヌシにニジリ寄ってきて、ワタシのわきの下に顔を突っ込もうとする。
いっちゃんも同じことをしていたし、そういう猫さんの話はネットでよく見る。
病院ではカイヌシのわきの下というのが、猫のデフォルトらしい。


診察。
問題の歯は、ワタシはキバが『折れた』のかと思っていたが、先生によると『抜けた』そうだ。
血は止まっている。
きれいに抜けていたらいいのだけど、もし根っこの一部が歯茎の中に残っていると、そこが腐って炎症を起こし、バイキンが身体に回ってしまうことがあるそうだ。
根っこが残っているかどうかは、レントゲンを撮らないと分からない。
しかし猫は動くので、レントゲンで小さな根の破片まで正確に写せるかどうか、これまた分からないという。
なので念のために、抗生物質を服用させることに。
もし根っこが残っていても、肉が盛り上がって綺麗に傷が治ってくれれば大丈夫なのだそう。


キバが抜けた原因は、歯周病だそうだ(大泣)。
上のキバの左右の長さが違うのも、キバそのものの長さが違うのではなくて、歯周病で歯茎の後退しているからだそう。
右上のキバのほうが長く見えるのは、右上の歯茎がより後退しているってことで。


まだ6歳なのに、キバが抜けるほどの歯周病だなんて・・・(号泣)。
とにかく歯磨きを強化しましょうということで、歯磨きジェルを使ってみることになった。


ワタシは猫の歯磨きって知らなかったので、いっちゃんは磨いたがことなかったけれど、20歳まで歯は全部、綺麗に揃っていた。
歯石は少し付いていたけど、痛みがありそうな炎症はぜんぜんなくて、口内のトラブルは皆無だった。
猫ってみんなそんなものと思っていた・・・というか、いっちゃんのときには猫の歯に関して特に考えたことがなかったけれど、王様の歯はとても丈夫だったのだろう。
今は少し学習したので、猫さんにもニンゲン同様、歯や歯茎のトラブルがあると知っている。
けれど、けれど、まさか6歳でキバが抜けるなんて~。
いっちゃんは特別に歯が丈夫だったけれど、らくは平均よりもちょっと歯が弱いのかもしれない。


せっかくなので健康診断の血液検査も。
甲状腺の検査(T4)は外注に出すので、血液は2ccくらいは必要だそう。
前足から採血。
一発で針が入り、ワタシは保定しながら、らくを褒める歌を歌いまくる。
いっちゃんのときから散々やっているので、今さら先生に変に思われるという心配もなく、遠慮なくラクシュミーを褒めまくる。
らくはじっと固まっててくれて大変に良い子だった。
それでもカイヌシが緊張で汗びっしょりになった頃、注射器にたっぷり1本分の血を確保して、ようやく採血終了。
キャリーから力ずくで引っ張り出されたラクシュミーは、終ったら自分からとっととキャリーに戻った。


血液検査の結果は、院内で測定できるものは2時間くらい、外注のT4は2~3日かかる。
T4の結果が出てから、後日、まとめて話を聞きに来ることにして、帰宅。
院内の検査結果で何かあったら電話をもらうことになっていたので、夜まで落ち着かなかったが、電話はなく少しほっとした。


来るときにはタクシーだったが、帰りは10分ほど緑道を散歩しながら隣駅まで歩き、電車2本を乗り継いで帰宅。
電車の中でのラクシュミーは、何回か「うわーん」と雄叫びしたけど、ほとんどイイコで窓の外の景色を見ていた。
緑道を歩いていたときにも、行きほどは叫ばなかった。
帰るって分かっているよう。
乗客のおばさんが、「あら~、きれいな猫ちゃんね~。」と褒めてくれた。
うははははっ!
ありがとうございますっ!
・・・キバが一本、ないけどな・・・。


ぎゃおす長屋に帰宅。


部屋の中でキャリーを開けても、らくさん、警戒してなかなか出てこない。
しばらく空気をクンカクンカして、それから腰を低くしてサササっと出てきて、腰を低くしたままサササササ~と2階へ登っていった。
で、ラクシュミー&ワタシの部屋で、らくさん、採血された腕をいっしょけんめ舐めている。
いつまでもいつまでも、しっつこく、腕がびっしょりになるほど舐めている。
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消毒のニオイが嫌なのかも。
病院のニオイがすると気持ちが落ち着かないのかな。


1時間くらいは腕を舐めまくったり家の中をウロウロして落ち着かなかったけれど、
そのうちおしっこして
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ご飯を食べて
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いつのどおりになってきた。
らくや。
今日は大冒険だったね。
大変な1日だったね。
お疲れ様でした。


しかし、らくさんの「大変な1日」は、まだ続く。
抗生物質の投薬→錠剤を喉の奥に放り込むという、基本作戦。
カイヌシの気合で一発オッケ。
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パセトシン。1回半錠、1日2回



ジェルを使った歯磨き→らくさんの渾身の抵抗で、いつもながらの「これって磨けてないだろ~」という程度のことしか、できなかった。
ちなみにジェルそのものを嫌がっている様子はない。
お口に入れても、特に反応なし。
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バイオティーン。無色透明のジェル

ジェルではなく、口の中にカイヌシの指を入れられるのが、とっても嫌みたい。
お口をパカーっと開けさせることはしていなくて、横から唇をめくっているだけなんだが、口内を触られるのは断固拒否される。
仔猫のころから一貫して拒否で、ぜんぜん慣れてくれない。


でも今までどおりに、磨けてないような歯磨きでは、この先、もっと困ったことになってしまう。
やらねばいかん・・・が。
ワタシに抱っこされるたびに、爪切りだのお尻拭き拭きだの歯磨きだの、今は投薬が増えて、
「カイヌシ(♀)に抱っこされると、ロクなことがない」
と、らくの小さい頭にますますインプットされそうだ。


でも仕方がない、やるしかないよなあ。
しくしく。



本日のお会計
タクシー・・・2420円


病院代
再診料・・・735円
血液検査(12項目)・・・7,875円
甲状腺検査・・・4,557円
内服薬5日分(抗生物質 パセトシン)・・・1,103円
歯磨きジェル(バイオティーン デンタルジェル)・・・2,835円

合計・・・17,105円

— posted by hipi at 11:04 pm  

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