なぜならコタツの中では、コタツの主がとぐろを巻いているからです。
もしうっかり主を蹴っ飛ばしてしまったら、怒った主に攻撃されて流血沙汰は免れません。
正しいコタツの作法とは。
1・主の居場所を確認したいのは山々ですが、コタツ布団をめくって中を覗いてはいけません。
めくったところから冷たい空気が流れ込み、迷惑そうな顔をした主にぶん殴られる危険があります。
2・布団を持ち上げないように、コタツの端からゆっくりそっと滑らすように足を入れます。
3・主はたいてい、ど真ん中でおっぴろがっています。
なのでニンゲンは、できるだけ端っこの布団沿いに、そろそろと足を進ませます。
4・無事にコタツに足を入れたら、できるだけ身体を動かさないこと。
主のお休みの邪魔になってはいけないからです。
5・しばらくたつと、寝返りをうった主が二ンゲンの足のほうに転がってきて、ぐいぐいと幅寄せしつつ押してきます。
ここで主に場所を譲る必要はありません。
頑張って踏みとどまって、主のむっちむちの身体が押し付けられる感触を楽しみましょう。
6・ぐいぐい押してもニンゲンがどかなかった場合、主は作戦変更をして、ニンゲンの足の上にどっかりと寄りかかってきます。
重いです。
が、これもまた主に触れる貴重な機会です。
重くて暑っくるしい、たっぷりとした脂身を堪能しましょう。
7・足がしびれても、トイレに行きたくなっても、ひたすらじっとしていましょう。
うかつに動くと、主に噛まれたり蹴られたりして、痛い目にあいます。
心配しなくても1時間もすれば、主はご飯を食べるためにコタツから出ていきます。
そのときにニンゲンも動けば良いのです。
長屋流コタツ道を極めるのは、並大抵のことではありません。
しかし、何事も精進、成せば成るものです。
みなさまもお元気で、この冬も修行に励んでくださいませ。