今度また生まれてくることがあったら、海イグアナになりたいと思う。
岩の上でじ~っと動かず日向ぼっこして、お腹がすいたら海にもぐって海草を食べて、エルニーニョが発生したら個体数を減らし、誰のことも攻撃せずに生き延びていく。
いいなあ・・・。
理想の生活だ。
日向ぼっこしながら寝てるか食べてるかだよ。
ケンカもしないし、まったりスローでマイペースの海イグアナ。
いいよなあ。
と思っていたが。
海イグアナは海藻しか食べないので、エルニーニョが発生して海草がなくなると、多くの個体が餓死してしまう。
海藻がいっぱい生えればまた個体数も増えるのだけれど、昨今はエルニーニョが発生する年が頻繁になってきて、海イグアナたちが激減する年も以前より頻繁になってきた。
地球温暖化の影響なのか、海水温度が上昇したことにより、海草も以前のようにワサワサとはなかなか生えなくなってきた。
海イグアナたちにとっては、食糧難の時代なのだ。
そういう環境の中、陸イグアナの雌に乗っかる海イグアナの雄が出てきた。
そして、海イグアナと陸イグアナを両親に持つイグアナたちが出現した。
彼らは、陸イグアナと海イグアナのDNAを持っているハイブリッドタイプのイグアナちゃんだ。
陸イグアナの食料であるウチワサボテンも、海イグアナの食料である海藻も、どちらも食べることができるそうだ。
どちらも食べることができれば、餓死から逃れられる可能性がうんと高くなる。
ハイブリッドイグアナちゃんは、食糧難の海イグアナ父さんたちの生き残りをかけた作戦なのだった。
余談だが、イグアナはもともとは陸イグアナしかいなかったそうだが、あるときサボテンが減って食糧難になり、海に活路を求めたものたちが海イグアナの祖先らしい。
今は状況が逆転しているのだが、サボテンオッケ海藻オッケのハイブリッドちゃんは、陸で暮らしているが海イグアナ譲りの鋭い爪を持っているので、ガッシガッシとサボテンによじ登り、高いところの食料も食べることができる。
そして一方、木登りできない陸イグアナは、食料が落ちてくるのをひたすら待っているしかない。
陸イグアナちゃん、とっても不利!
なので、ハイブリッドちゃんたちの数が増えすぎれば、今度は陸イグアナが食糧難になるかもしれないそう。
そういう新たな問題があるわけだが話は戻って。
スゲいよ。
海イグアナ、スゲいよ!
まったりスローに生きているだけじゃなかったんだね。
しっかり危機管理に励んでいるのね。
誤解していた。悪かった。
こんなワタシが海イグアナになりたいなんて、身の程知らずであった。
ワタシにはとても務まらないと思われる。
じゃあどうしよう。
クラゲはどうだ?
ミズクラゲになって海でぷかぷか、波にゆらゆら漂いながら流されて、ちくちくニンゲンを刺したり、ぱくっと海がめに食われたり。
深海でピカピカ光りながら、ひゅお~んひゅお~んと優雅に泳ぐカブトクラゲも捨てがたい。
海上か深海か。
ううむ。
これはこれで呑気なイキモノ、イエヤマネコ。