朝、らくに「妹ができるよ。もう一人っ子じゃなくなるし、茶々は気が強いみたいだけどこの家ではらくが一番なんだよ。らくはオレさまのままで大丈夫なんだからね。」とくどくどと言い聞かせ、いっちゃんのキャリーを持って家を出た。
小田急デパートでタラバと苺、茶々へのお土産にボタン海老の刺身を買って母の家へ。
母、ちょっと不機嫌。
それでもご飯を食べたり話をしたりしているうちに、だんだん普通に戻ってきた。
茶々を引き取るのはかまわないけれど、当分はくりくりの部屋から出せない。
血液検査の結果次第では、ずーーーっと出せないかもしれない。
(茶々はもらってきてすぐに獣医さんで健康診断をしているけれど、血液検査はしていない。1匹だけの室内飼いなら、避妊手術のときまで待っても良いと思っていたので。)
血液検査で何もなくても、らくと茶々がどうしても折り合いが悪くてお互いのストレスになってしまったら、茶々の里親さんを捜すことになる。
そうなると、茶々を返してくれと言われても、もう返せないよ。
ということを伝えると、母の旦那さんのNさんが
「くりくりさんの部屋の広さはどのくらいなの?」と聞いてきた。
5畳くらいかなあ。でも猫は上下運動できるように工夫してあげれば狭くても大丈夫と答え、
あ、それならNさんがNさんの部屋で一緒に暮してもいいんじゃない?
と、深い意味はなく思いつきで言うと。
パッと顔が明るくなるNさん。
そうだ、茶々はじいじの部屋で一緒に暮そう!
(母に向って)俺の部屋は覗かないでよね。
俺は茶々と暮らすんだから。
じいじが茶々を育てるんだから!
と張り切りだした。
びっくりしました。
自らを『じいじ』と呼び、茶々に話しかけるNさん。
母によると、いつもだそうだ。
で、結局、Nさんが仕事でいない間は茶々はNさんの部屋でお留守番。
Nさんの帰宅後はNさんの監督つきで茶の間で放牧ということで落ち着いた。
それなら母も怖くないし、茶々を猫かわいがりのNさんも弟のたかぷ(仮名)もハッピーだ。
えがったえがった。
とみんなで笑っていたら、急にまた、ちょっと不機嫌になる母。
「本当は茶々を引き取りたくないんでしょ?!」と、なぜかまた攻撃されそうな気配が~。
そんなことないけど、みんな幸せに丸く収まる方法が見つかったんだからそれでいいじゃないと言うと、
「そうだね。」とあっさり引き下がる母。
絡んでみたかっただけか。
だいたい母だって、茶々と仲良しなのに。
母が自分の膝を叩いて「おいで」と言うと、茶々は母の膝の上にぴょんと飛び乗り、くるんと丸くなって、盛大にごろごろ喉を鳴らしている。
母は引っかかれるのが怖いので、急いで手をコタツの中に隠すのだが、とっても嬉しそうで自慢げにしている。
茶々だって、可愛がってくれない人の膝の上には乗らないはずだ。
この人たち、本当はラブラブじゃん。
そんなこんなで、お節やら母の手作りの料理やらお土産をいっぱいもらって帰る時間。
母は玄関先で、
「また引っかかれたら、引き取りに来てーってすぐ電話するから。」と言いながら、にこにこと笑っている。
いつでもどうぞと答えておいた。
やっぱりなあ。
言ってみたかっただけだったのね。
茶々や。
母をよろしくね。
元気でうんと長生きしてね。
頼むよーっ!
追記その1・茶々はボタン海老のお刺身を食べなかった。
鯛を焼いたのは大好きだそうだが、生ものには興味を示さないらしい。
生まれてまだ、たった3ヶ月しかたっていないものね。
これから母とNさんとたかぷといっしょに、美味しいをたくさん見つけてね。
追記その2・母の言うとおり、茶々はお転婆で飛び猫であった。
らくが小さいころもモモンガかと思うくらい滑空してたが、茶々はもっと飛ぶ。
コタツで寛いでいるニンゲンの顔のすぐ前を、びゅんびゅん飛んでいく。
けっこう怖い。
カーテンレール渡りもできるそうだ。
らくはそれは、やったことない。
猫さんは女の子のほうが身軽で活発な子が多いかも。
たしかに母のように、長年大人だけで暮らしてきた若くはない人にとっては、相手をするのは大変かも。
しかも近所の母の友達猫はみんな大人猫なので、母は猫っていうのはあんまり動かなくておっとりしていて、寝ていることが多いと思っていたらしい。
大人猫になればこんなに飛ばないよというと、はやく大人になってくれと言う。
気持ちは分かるが、子猫時代はあっという間だから、大変だけど母も少しでも楽しんでくれたらいいなと思う。
追記その3・茶々は噛み癖もある。
Nさんが遊びで自分の手を噛ませるからで、母にはやらないそうだが、ワタシにはガブガブしてきた。
あ~れ~。
この細い歯の感触はなつかしや~。
が、けっこう痛い。
茶々も加減はしているようで、血が出るほどは噛まないけれど、子猫の針のような歯はちくちくと刺さる。
噛み癖はNさんとたかぷだけにならいいかもだけど、母には厳禁。
また絶対に大騒ぎになる。
止めさせたほうがいいかもしれない。
かつて七宝親分が噛み猫だったころ、マダム・スタルカは鍋蓋を使って矯正したという話を思い出し、母に話した(違っているかもだけど)。
さっそく台所から鍋蓋を2枚持ってきて、茶々がワタシやNさんを噛むたびに、カ~ンと打ち鳴らす母。
びっくりして、さっとやめる茶々。
大きい音が苦手なワタシもびっくり。
ワタシ的には噛まれたほうがいいくらいだが、効果のほどに母はご満悦。
明日、紐の両端に鍋蓋をくくりつけて、いつも首からぶらさげておくのだそうだ。
冗談だと思いたい・・・(母はもともと機嫌がいいと、冗談ばかり言う人なのだ)。
追記その4・一緒の部屋で暮らす猫を夢見ていたくりくりに、「茶々は来ないことになった。」と言うと、
「やっぱりなあ。そんな気がしてた。」と笑った。
追記その5・翌日母に電話をしてみると、結局茶々は茶の間に戻ったそうだ。
昨夜一晩、Nさんの部屋で過ごしたが、母が気になって気になってしかたがなくて、Nさんの部屋から連れてきたらしい。
こればっかりだけど、やっぱりなあ~。
茶々の写真がないので、いつものラクシュミー